集団的自衛権姉妹

渡辺ヤスヒロ



 憲法改正とか集団的自衛権だとかで安保法案が通った時の騒ぎはもう去年(2016年)の秋の事だったかニュースで言葉を耳にする事もほとんどなくなった。一体あの騒ぎは何だったんだろう。等と感傷に浸るつもりはない。考えたいのは国規模での集団的自衛権の話ではなくもっと小規模での話なのだ。
小規模と言うのはつまり都市単位の事を言う。以前当学会へ「非核宣言都市を行っている自治体は核の傘に頼る事なく自らが武装し自衛を行う武闘派都市なのだ」と言う趣旨の論文が出た事があるが、その単位と思って貰えば良い。
そもそも中世での戦争の多くは都市単位で行われており、その結果として塀で囲われた城塞都市や堀で囲われた城下町が作られたのである。都市とは言え日本で言えば市町村に当たるわけで政令指定都市みたいな100万都市を考えるとややこしくなるのでここでは除外する事にする。

さて話は変わって姉妹都市と言うものがある。一時期流行したので自分の住んでいる市がどこか聞いた事もない外国の良く分からない市と姉妹都市関係になったりなっていたりして、留学生の交換やら何やらをやったりやらなかったりするアレだ。
基本的には文化の交流や親善を目的として別の国と行われており、親善都市とか友好都市とか呼ばれる事もあるが、英語ではSister Citiesで姉妹になる。
なぜ姉妹なのか。兄弟ではダメなのか?と思わなくもないがBrother Citiesでは何だかヘイ!ブラザー!とか軽々しく友達呼ばわりされてる気がしないでもないのでこの辺りは姉妹で良いとする。

出自も国も全然違う自治体同士が姉妹と言う血を分けた存在になるとはどういうことなのか。もうこれしか思いつかないだろう。

「我ら三人、生まれし日、時は違えども兄弟の契りを結びしからは、心を同じくして助け合い、困窮する者たちを救わん。
 同年同月同日に生まれることを得ずとも、同年同月同日に死せん事を願わん。
 皇天后土よ、実にこの心を鑑みよ。義に背き恩を忘るれば、天人共に戮すべし。」

三国志の序盤最も盛り上がる「桃園の誓い」である。彼らは男同士だったから兄弟の契りを交わす訳だが都市では姉妹となる。

ここで話を戻すと、姉妹都市宣言とはつまり義兄弟の契りであり、志同じく戦わんと言う事であるのだ。これは集団的自衛権そのものであると言えよう。
憲法やら安保やら言っている以前から全国の自治体は諸外国の自治体と集団的自衛権を誓い合っていたのだ。今更騒ぐほどの事でもなかったのである。





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