異常気象には雨男

渡辺ヤスヒロ




 雨乞い等を持ち出さずとも古来から天候は人間の生活に密接に関わって来たことは言うまでもない。生活を支える基盤となる農業、林業、漁業、酪農等第一次産業は天候不順で常に致命的なダメージを受ける立場にある。一見無関係に見える工業でも水不足には毎年頭を痛めているし、サービス業においても同じく、夏に暑く冬に寒い季節に合った天候でなければ商売が上手くいかない。梅雨には雨が降らなければならないし、夏には晴れて暑くなければビールが売れないわけだ。

 自分が友人や団体で旅行に行くとなぜか必ず雨に祟られる。そのうち旅行に誘われなくなってしまった。そんなつましい思い出を持つ人はいないだろうか。陰口とまで行かなくても、『君は雨男だから、来週のゴルフには誘わないことにした。』等と部長に言われたりしたことはないだろうか。体の良い断りの言い訳でしか過ぎないと思われていた雨男、雨女であるが、実際のところ人が天候に対して影響を与える事がないとは言い切れないのである。
 雨男、雨女の存在が前述の経験則からある程度証明できるし、過去に雨乞いをする専門の呪術師が世界中のあらゆる地域に存在した記録をみても明らかである。彼ら雨男雨女、そして晴男晴女の持つ力及びその定義をしてみるとこの様になる。

考えられる晴男、晴女の力。
・雨雲を寄せつけない。
・雨雲を作らせにくい。
・雨を降らせにくい。
・雨を止ませ易い。

考えられる雨男、雨女の力。
・雨雲を寄せつける。
・雨雲を作らせ易い。
・雨を降らせ易い。
・雨を止ませにくい。

 これらの属性は遺伝すると考えられる。なぜならば、雨の多い地域と少ない地域の存在がこれを証明しているのだ。もちろん、人間の関わる以前に降雨量の差があることは考えられるが、似た様な条件の土地であっても雨の多い少ないはあるのではないだろうか。つまり、以下の事が言えるのである。

 晴男、晴女の多い地域では晴れが多い。
 雨男、雨女の多い地域では雨が多い。

 台風の通り道として名高い地区は沖縄や九州にいくつかあることは知っての通りである。だが、台風がその地域を毎年直撃するのはなぜなのだろうか。台風情報をテレビで見た事のない日本人は少ないであろう。台風の進路と言うのは観ていると結構気まぐれであり、数10〜100キロメートルの幅でコースがずれたりする。予想も難しいこの動きなのにも関わらず、特定の地区に良く来るのはなぜなのだろうか。やはり何か力が働いているからと考えるべきなのである。

 晴男、晴女が集まり、集落を作り、国を造ってしまったりするとその力は飛躍的に増大すると考えられる。
もしかしたらやがて雨の降らない国となってしまい、砂漠を作る元凶になっていたのかも知れないのである。それが晴男晴女の集団でなくてもただ一人の強力な晴男の存在が国を滅ぼしてしまったのかも知れないが。

 雨の多い地域と言うのも存在する。毎日スコールの降ったりする南太平洋の島国であるとか、そう言った所だ。赤道直下であってもアフリカのサバンナでは乾季にはほとんど雨が降らないことを考えると元々の気象条件から考えて降り過ぎであろう。つまりこの地域には雨男、雨女の遺伝子を持った人達が晴男、晴女の遺伝子を持つ人より多く存在する(又は力を強く持つ)のである。
 砂漠の緑化のためにしなければならないことの第一は、そこに住む晴男・晴女の引っ越しと雨男・雨女の移住なのである。砂漠化してしまった場所は確かに気象条件として雨が降りにくい。しかし、一緒に旅行すると必ず雨になる様な人の協力なパワーがあればいつかは雨を降らせることも可能であると言えよう。



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