7色の休日

穂滝薫理



 先の天皇であるところの昭和天皇の誕生日は、「みどりの日」と名前を変え、休日として残った。よろこばしいことである。建国記念でも憲法記念でもない、政治とも文化とも関係のない、単なる「みどりの日」。昭和天皇の人柄がしのばれるような、すがすがしい名前である。将来的には、なぜこの日が休日なのか、天皇の誕生日であったことさえも忘れ去られることが望ましい。
 そうは言っても、日本における天皇の地位はまだまだ不変だ。今上天皇の誕生日が新たな休日として設定されたことからも、そのことがうかがえる。
 しかし、そう案ずることはない。今上崩御後、その誕生日もまた前例に倣って単なる色の日になればいいのだ。例えば青の日、また例えば黄色の日など。こうして、天皇の代が替わるごとに日本には色の休日が増えていく。天皇制が今後も続くとすれば、365日、すべてが色の名前を持った日になるだろう。大丈夫、色の種類は豊富に存在する。日本古来の色には“もえぎ色”などという、さわやかな若々しい色だって存在するのだ。7色どころではない、日本は365色の休日を持つ、カラフルで明るい国になるのである。
 しかしよく考えてみると、日本の休日としてふさわしくない色がないわけではない。特に赤の日はまずいよな。赤の日は。



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