2002年日本SF大会企画結果報告
SF大会結果報告

加藤法之

 去る7/16及び17日、横浜のパシフィコ横浜国際会議場にて行われた第44回SF大会HAMACON2において、今回も机上理論学会は発表会を行った。発表はいつものように加藤と渡辺だが、今回は当会の論客の一人であるさうすさんも、観客の一人として参加いただいた。160人教室を7〜8割埋めていたので、間違いなく100人を超える来客の中、以下の内容について発表した。


1. 童謡解析・ぞうさん(05年上半期論文集所収)
 机上理論とは何かを紹介するのに、身近で短いネタをやることにしている。だいたいこんなもんかという雰囲気を掴んでもらうのに有効なため、童謡ネタは毎回初っ端に発表するのだが、“短い”という部分は年々無視される傾向が出てきて反省するところ。この“ぞうさん”ネタも、歌詞が四行しかないのに二回どんでん返しがあるからね。受けはまずまず。

2.黄泉がえりのコツ(03年上半期論文集所収)
 渡辺氏との共作だ。ギャオスの首は超音波を出すため空洞になっており、そのため両側に首の骨があり、構造的に首が回らない。劇中でも弱点の一つとして暴かれるこの資質のお陰で、しかしギャオスは蘇ることができる、という内容。パワーポイント(PPT)ってクリックに過剰反応するので、落ちが先に出てしまって失敗した。これはやや受け。

3.「ヒーローものゲーム、子供の攻撃性増加の可能性」について
新聞記事にあった研究発表へのツッコミ。子供を研究対象とするつもりなら子供の興味対象をきちんと知っておく必要があると言うことを説明。プレゼンに慣れていないので失敗気味だったが、面白さは伝わったようで少しほっとした。今回の論文集に掲載。

4.バナナはおやつに入るのか(04年上半期論文集所収)
 題名の通りの疑問をちまちまと解析していったもの。このネタは着眼点だけでも注目をひくので、結構美味しいネタだと思って採用した。が、この論文は“納得させる”系の話なので大笑いが少なく、興味の程度がどの位かを謀るのに迷ったところがあった。PPT投影するためにほとんど真っ暗にしちゃったから、お客さんの顔がわかんなかったんだよね。

5.今日の小ネタ
 今回はこれが成功した。これは何らか机上理論の仲間の間で出た話題をお客さんにもネタだししてもらおうという企画で、今回は
 (i)リニア鉄道に、磁石以外の対立・反発物を使う
 (ii)萌えものには“〜たん”。他にもつくろう。
というものをやったのだが、(i)は“南と北”っていう政治ネタから“オタク系とアキバ系”なる暗黙の対立ネタを出したり、(ii)でも呈示した“ウズベキスたん”ネタに突っ込んだり、“ハイオクたん”ネタが出たりと、非常に盛り上がり、会場が気を入れてくれているのが判って嬉しい限り。毎度こうだといいんだけど。

6.花咲爺の一神教(05年上半期論文集所収)
 一応今回の目玉として話した。この本に入ってるからネタばらししてもいいだろうけど、アレックギネスの姿が先に出たのはご愛嬌だったか。まぁ、受けも予想通り取れたし、よしとするか。

7.つぶ餡の自我(04年上半期論文集所収)
 時間が余ったので発表した。アンパンマンの自我について考察したもので、面白いとは思ってるけど、掉尾を飾るネタじゃなかったなぁ。


総じて
 今回は、(i)大勢のお客さんが来てくれたこと、(ii)最後まで帰らなかったこと、(iii)参加型の企画としてまあまぁ成功したこと、そして何より、(iv)受けたこと、を鑑みれば、まあようやっと企画として及第点に達したと言えるのではなかろうか。下記するようなアクシデントにも拘わらず、7回目にしてようやく達したこのレベルの結果は、素人企画に気長に付き合ってくださるお客さんがたの鷹揚な視線なくしては、決してたどり着けなかったであろうところで、加藤なんかは感謝と感動を禁じえない。あらためて御礼申し上げます。ありがとうございました。
 あ、あと思ったことは、やはりうちの企画はプログラムの最初の方に置いてもらった方がいいみたい。元気のいいときじゃないとみんな寝ちゃうから。


特記事項
 今回特記したいのは、SF大会側の運営についてだ。というのも今回の大会運営、決して杜撰とは言わないけど、段取りのまずさは我々が参加した中ではダントツだったからだ。なにせ開会式が遅れたにも拘わらず、その時点ですら企画スケジュールが配られていなかったのだもの。我々の時間は事前に一コマ目だって聞いていたからもうドキドキものだった。受付のスタッフもいい加減で、「遅れた分だけプログラムは“ずれる”。」なんて答えるから開会式会場でまったりしてた。んだけど、前の席の人がどう手に入れたのかスケジュールを持ってたので、ちょっとお願いして見せてもらうと、時間にはまったく“変更なし”!! なにー! もう始まってるじゃんかよ! ってなもんで冷汗かきつつ部屋にたどり着いてみると、前述したような大勢の人が何故か来てる、って状態だったのであった。
 我々企画者側の失敗が少なかっただけに、もしちゃんとスケジュールが配られたらもっと来てくれたかもしれないなぁと、ちょっと残念にも思ったけど、そもそもあれだけの人が企画内容の演目すら貼られていない部屋に集まっただけでも驚異であった。
 SF大会の参加者は自立心が高いんだなァ、って思うとき、今回の企画成功の一番原因は、お客さんの機転によるんだなぁとしみじみ思ったのだった。


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